日本国籍を失う要件とは/様々な日本国籍喪失要件に注意すること

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今までは日本国籍の取得要件でした。

普通に進むと、お待ちかねの「帰化の要件」なのですが、ここでちょっと寄り道をしましょう。

今日は日本国籍の喪失要件について話します。

喪失とは「失う」ことです。つまり、どんな時に日本国籍を失ってしまうのかです。

この喪失要件ですが、国籍法第11条から第16条までに書かれています。

日本国民は、次のような時には、日本国籍を失います。

1. 自分の希望によって外国の国籍を取得した時(第11条第1項)

自分からすすんで、外国の国籍を取得したときは、当然、その外国の国籍に属することができますが、一方で、2重国籍になるので、日本国籍を失うことになります。

例えば、ある外国でその国に帰化申請をして、帰化した場合は、自動的に日本国籍を失います。

基本的に、日本の国籍法(第14条)は、2重国籍を好ましい状態ではないと考えているので、22歳になる前に選択することとしています。

2. 日本国籍を持つ者がその外国の法令によりその国の国籍を選択した時(第11条第2項)

これは、ほぼ第11条第1項と同じような意味ですが、外国の国籍をその外国の法律や政令などによって選択した場合には、日本の国籍を失いますよと言っています。

例えば、日本人を親に持つ人が、出生国主義の国で生まれ、その国の法令に国籍選択の宣言を求めるような制度があり、その制度によりその国の国籍を選択したときは、日本の国籍を失うようなケースが有ります。

3. 出生により外国の国籍を取得した日本国民で国外に生まれたもので、国籍留保届出を提出しなかったときは、出生時にさかのぼって国籍を喪失する(第12条)

両親が日本人で、出生地主義の国(例えば米国など)生まれた場合、日本とアメリカの2重国籍をもつわけですが、日本に対して国籍留保の届出(22歳までに、どちらの国籍を選ぶかを決めるので、待って下さいという届け出)を提出しない場合には、生まれたときまでさかのぼって国籍を失ったこと、つまり、生まれたときから日本国籍はなかったことになるということです。

ですから、この場合、出生後日本人として行ったことは、無効になります。

例えば、日本人のパスポートを所有していた場合には、そのパスポートは生まれたときから無効とされて、もちろん将来も無効になります。

ただし、国籍の再取得という制度を以前話しましたが、この届出(国籍留保の届出)を出していない場合でも、ある要件を満たせば、再取得できます。

その要件とは、

  • 20歳未満
  • 日本に住所を有するとき
  • 法務大臣への届出すること

この要件をすべて満たせば、国籍を再取得する(第17条第1項)ことができます。

4. 届け出によって積極的に国籍を失うこともできます(第13条)

外国の国籍を有する日本国民は、法務大臣に届け出ることで、日本国籍を離脱できる(第13条)

様々な都合により、日本国籍を持っていては、しめしがつかない場合には、法務省(実務では法務局)に届け出ることにより日本国籍を失います。

5. 手続をしないことにより国籍を失うこともある(第14条)

22歳までに国籍を選択できるといいましたが、22歳までに選択をしないと、その手続をしない事により、外国籍を選択したとみなされて日本国籍を失ってしまいます

また、日本国籍の選択は、「日本国籍を選択し、かつ、外国の国籍を放棄する旨」の宣言によって行ないます。

この宣言を「選択の宣言」といいます。

また、20歳に達した後に外国国籍をもつことになった場合には、その時から2年以内に、いずれかの国籍の選択をしなければならないとされています。

そのような場合でも、2年以内に日本国籍を選択する手続を行わない場合には、国籍を失ってしまいます

6.国籍選択の届け出を期限までに行わないものに対して法務大臣は書面により国籍選択の催告をすることができます(第15条)

22歳まで、または、20歳に達した後に外国国籍をもつことになった場合は2年以内に、国籍選択の届出を行わないと、法務大臣が「国籍を選択せよ」という催促(さいそく)をすることがあるというのです。

この催告から1ヶ月以内に手続を行わない場合には、国籍を失います。

この条文ですが、実際に法務大臣から(実際には法務局から)催告を受けた人っているのでしょうか。

聞いたことがありません。

事実上、催告される人はいないので、無視しても結構です。

7. 法務大臣による国籍喪失宣言もある(第16条)

選択の宣言」をした日本国民外国の国籍を失っていないものが希望により、その外国の公務員の職(その国の国籍者で無い者であっても就任できる職を除く)に就任した場合で、その就任が日本国籍選択の趣旨に著しく反する場合は、法務大臣はその者に対し日本国籍喪失を宣言することができ宣告の告示があった日に日本国籍を喪失するとされています。

つまり、例えば、「私は日本国籍を選択してA国の国籍を放棄します」と日本政府に宣言した後でも、A国に対して放棄の宣言を行わないと、実質的にはA国の国籍所有者になります。

この状態で、A国の公務員として重要なポジションに就任した場合、日本から見るとこの人はA国へ奉仕するようにみえるので、このような状態を許しません。

よって、法務大臣が「あなたは日本国籍を失います」と一方的に宣言をすることができるということです。

8. まとめ

日本国籍を失うときの要件は以下の様なものがある。

  • 自分の希望によって外国の国籍を取得した時(第11条第1項)
  • 日本国籍を持つ者がその外国の法令によりその国の国籍を選択した時(第11条第2項)
  • 出生により外国の国籍を取得した日本国民で国外に生まれたもので、国籍留保届出を提出しなかったとき(第12条)
  • 外国の国籍を有する日本国民は、法務大臣に届け出ることで、日本国籍を離脱できる(第13条)
  • 手続をしないことにより国籍を失うこともある(第14条1項)
  • 国籍選択の届け出を期限までに行わないものに対して、法務大臣は書面により国籍選択の催告をすることができます。(第15条)
  • 法務大臣による国籍喪失宣言もある(第16条)