在留資格「家族滞在」で在留し、日本の義務教育を修了、高校卒業後に日本で就労を希望する方へ
外国人の両親が来日してそのまま仕事を続け、一方、子どもは日本で生まれ、小中学校の時から日本で教育を受けて、高校を卒業し、日本での就職を希望しているようなときに、問題が出てきますよね。
わかりますか?
このパターンって、日本人であれば、普通に「高卒」で、一般の企業に就職できるのです。
でも、外国人ならではの大変さがこのようなときに出てくるのです。
なぜなら、高校卒業後、外国人の子どもは、就労ビザを取得できないからなのです。
子どもは、生まれたときから在留資格「家族滞在」で過ごすことになります。
この子どもが大学卒または専門学校卒までいけば、問題ありません。
大学や専門学校での学問的な知識や経験をもとに、在留資格「技術・人文科学・国際業務」に変更すれば良いからです。
問題は、高校卒業であると「技術・人文科学・国際業務」への変更もできないということ。
さらには、3年または10年の経験を必要とする在留資格「技能」への変更も不可能だからです。
そのようなときには、どうしたらよいかについて、以前(2017年3月)に話したのですが、新しく情報を追加しました。
目次
1. 在留資格「定住者」または「特定活動」へ変更が可能となった
以前のブログの内容では、在留資格「定住者」へ変更の可能性が法務省から提示されていました。
最近、内容を確認してみると、さらに在留資格「特定活動」への変更も可能性があることが述べられていました。
以下の表が、在留資格「定住者」と「特定活動」への変更の要件を示したものです。
分かりやすく比較できるように表にしてみました。
「定住者」「特定活動」への変更基準
定住者 | 特定活動 |
---|---|
現在、在留資格「家族滞在」で我が国に滞在していること。 | 同左 |
住居地の届出等、公的義務を履行していること | 同左 |
我が国において義務教育の大半を修了していること(※1) 小学校中学年までに来日し、小学校、中学校及び高等学校を卒業する方が対象となります(少なくとも「小学校4年生のおおむね1年間を在学」し、その後引き続き在学していることが必要です。)。 | 我が国において義務教育を修了していること(※1) 少なくとも「中学校3年生のおおむね1年間」を在学し、中学校及び高等学校を卒業する方については、扶養者である父又は母との同居を条件に、「特定活動」の在留資格への変更が認められる場合があります |
我が国の高等学校を卒業していること又は卒業見込であること | 同左 |
就労先が決定(内定を含む)していること(※2) 資格外活動許可の範囲(1週につき28時間)を超えて就労する場合に対象となります。 | 同左 |
1-1. 「定住者」への変更と「特定活動」への変更の違いは
「定住者」への変更と「特定活動」への変更の違いは、日本の小中学校に少なくとも小学4年生から在籍するか、中学3年生から在籍するかであることがわかります。
もちろん、その後も通い続け、高校を卒業することが前提です。
2. たとえば
ある外国人夫婦が、外国料理の在留資格「技能」で入国し、その間に子どもを産み育てるとします。
子どもは高校を卒業し、いざ大学生か、社会人かという選択を迫られたときに、日本人であれば、成績や経済的な理由により社会人になることもあるでしょう。
外国人の場合でも、大学生になる場合には特に大きな問題はありません。
大学卒業後、大学の専攻に合った職業を選んで、在留資格「技術・人文知識・国際業務」に変更し、関連した会社に入れば良いのですから。
しかし、大学に入学できず社会人にならざるを得ない人はどうすればよいでしょうか?
非就労ビザの在留資格「家族滞在」ですよ。
少なくとも在留資格「技術・人文知識・国際業務」の取得はできません。
在留資格「技能」はその経験年数が問われます。
例えば、家業の外国料理店を継ぐ場合にも、最低10年の調理師としての経験が必要です。
18歳の子どもに10年の経験は無理ですよね。
これは、意外と思われる人がいらっしゃると思いますが、案外このケースに該当する外国人は多いのです。
このような場合に、身分系在留資格である「定住者」への変更が可能になったということなのです。
「定住者」であれば、就労制限はないので、家業である外国料理店を継ぐことも可能になります。
また、高校卒業の日本人のように一般企業への入社も可能となります。
3. 変更時および更新時の提出書類は
3-1. 在留資格変更許可申請時
- 在留資格変更許可申請書
- 写真(縦4cm×横3cm) 1葉
- 履歴書
- 日本の小学校※及び中学校(または中学校)を卒業していることを証明する書類(卒業証書の写し又は卒業証明書)※小学校については、卒業している方のみ提出してください。
- 日本の高等学校を卒業していること又は卒業が見込まれることを証明する書類
- 日本の企業等に雇用されること(内定を含む。)を証明する書類
- 扶養者による身元保証書
- 住民票(世帯全員の記載のあるもの) 1通
- パスポート 提示
- 在留カード 提示
- 身分を証する文書等 提示
3-2. 在留資格更新許可申請時
- 在留期間更新許可申請書
- 写真(縦4cm×横3cm) 1葉
- 在職証明書
- 住民税の課税(又は非課税)証明書及び納税証明書(1年間の総所得及び納税状況が記載されたもの) 各1通
- 身元保証書
- 住民票(世帯全員の記載のあるもの) 1通
- パスポート 提示
- 在留カード 提示
- 身分を証する文書等 提示
4. まとめ
- 日本の小学校3~4年生で来日し、「家族滞在」の在留資格をもって在留し、そのまま高等学校卒業後に日本での就職を希望する方は、「定住者ビザ」が取得できる可能性がある。
- 少なくとも中学校3年生のおおむね1年間を在学し、「家族滞在」の在留資格をもって在留し、そのまま高等学校卒業後に日本での就職を希望する方は、「特定活動ビザ」が取得できる可能性がある。