外国人の起業:定款の絶対的記載事項である「設立に際して出資される財産の価額又はその最低額」について

この記事を読むのに必要な時間は約 4 分です。

会社設立にあたって、発起人は現金や物(ぶつ)を出資し、起業に備えます。

物とは、自動車や不動産のことをいい、それを使って、事務所に使用したり、営業のために客先を回ったりするのです。

そのように、出資金や物は非常に重要なために、定款の絶対的記載事項に書かれることになっています。

では、実際には、どのように記載されるのかをみてみましょう。

1. 設立時に出資される財産価額と最低額が規定される

会社法では発起人や募集株式の引受人が期日までに出資金の払込などを行わなかった場合、株主となる権利を失うとされています。

そのために、定款の絶対的記載事項として「設立に際して出資される財産の価額又はその最低額」が規定されています。

2. 出資金を払えなくなった発起人は会社設立に参加できなくなる

もしも、ある発起人が会社設立に参加できなくなった場合、残った発起人だけで会社の設立を行うことになります。

また、当初の出資金予定額全額を出資しなければならないとすると、残った発起人だけで、参加できなくなった人の穴を埋めなければならないので、出資不可能ということもありえます。

3. 参加できなくなった場合を考えて出資の最低額を記載するー出資金に余裕をもつ

しかし、定款に発起人全員で支払った出資金額の合計よりも低い出資最低額を記載しておけば、このような不測の事態が起こったときに迅速な対応ができることになります。

旧法下では、絶対的記載事項として「設立に際して発行する株式の総数」が定められていましたが、会社法上は「設立時発行株式の総数」として定款の任意的記載事項となった経緯があります。

絶対的記載事項であると、前述したように会社設立に参加できなくなったときには、残った発起人の負担が増えてしまい、最悪出資できない=会社成立しないという事態に追い込まれてしまうからです。

4. 定款の中では出資者やそれぞれの持ち株数、出資額を定めることができる

また、会社法での「社員」である出資者を確定しますが、発起設立においては、定款において具体的な社員や持ち株数、出資額を定めることができます。

  1. 発起人が割当を受ける設立時発行株式の数
  2. 設立時発行株式と引き換えに払い込む金銭の額
  3. 成立後の資本金及び資本準備金の額に関する事項

これらは、定款に定めがない場合には発起人全員の同意を得る必要がありますが、手間がかかるために当初より定款に定めておくことが通常なされています。

5. 最低資本金制度の廃止と外国人起業の場合

5-1. 日本人が起業する場合

平成18年5月1日に施行された新会社法以降は、設立時の資本金は1円でも株式会社の設立が可能となりました。

この制度、当時はよく騒がれて本なども多く出版されました。

しかし、現実には1円起業は不可能です。

例えば会社設立までに登録免許税として15万円程度はかかってしまいます。

では、外国人起業者の場合には、どうなるのでしょうか。

5-2. 外国人が起業する場合

同様に当然1円起業とはいきません。

さらに外国人であるがゆえの制限があります。

在留資格「経営・管理」を取得するにあたり、「常勤の従業員を2名雇用するか」又は「500万円以上の投資(資本金)」のどちらかが要求されています。

現実的には、ほとんどの場合、資本金の最低額は500万円として定めることになります。

このように外国人が起業を日本で行う場合、日本人にはなかった制限などがあるので注意が必要です。

6. まとめ

6-1. 定款の絶対的記載事項「設立に際して出資される財産の価額又はその最低額」とは、

  • 参加できなくなった場合を考えて出資の最低額を記載することで、最悪の会社成立せずを回避することができる。
  • 定款の中では出資者やそれぞれの持ち株数、出資額を定めることができる。

6-2. 最低資本金制度の廃止と外国人起業の場合

  • 平成18年5月1日に施行された新会社法以降は、設立時の資本金は1円でも株式会社の設立が可能となりました。
  • 日本人が起業する場合、最低でも15万円の登録免許税はかかります。
  • 外国人が起業する場合では、在留資格「経営・管理」を取得する上で、資本金の最低額は500万円として定めることになります。