EUブルーカード制度と日本の高度人材制度の相違点-現状と問題点とは

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高度人材」の受け入れが、日本では2012年5月7日に始まりました。

その後、2014年6月にポイント制の緩和措置がとられるとともに、新しい在留資格「高度専門職」が創設されました。

しかし、期待したほど申請者や許可者はのびていません。

2016年6月末現在のデータによると、旧制度の高度人材「特定活動」ビザ所有者が2,044名高度専門職1号イが544名高度専門職1号ロが2,011名高度専門職1号ハが90名、1号の後に高度専門職2号に移行した人43名の総計4,732名となっています。

在留資格をもつ在日外国人全体の数を約230万人とすると、約0.2%非常に低い値にとどまっているとしか言わざるを得ません。

実は、優秀な海外人材を自国に招き入れようという同じような制度は、日本から始まったわけではなく、お隣の韓国や遠くはEU(欧州連合)でも存在しています。

では、EUでの現状やその問題点についてみてみましょう。

1. EUの方が早かった高度人材制度

EUでの高度人材制度は「ブルーカード指令」として2009年6月19日に施行され、2011年6月19日までにEU各国は立法化しなければならないとされていました。

日本では2012年5月ですから、それより早い2011年6月には、ほとんどのEU各国で高度人材制度がすでにスタートしていたことになります。

2. EUブルーカード制度とは

高度な技能を有するの非EU市民が、EUのどこの国でも居住し就労することを認める許可証のことであり、一つの国で取得すれば、一定期間後に別の国に居住や就労することが可能になります。

このブルーカードは、2012年には3,644件2013年には15,261件発行されました。

EU各国の中でも、人手不足を背景に約80%がドイツで発行されています。

取得者の国籍として多い国は、インドが一番多く、次に中国となっています。

3. 制度拡大のための改正案も

日本でおこなわれてきたような高度人材制度が利用しやすくなる制度改正ですが、EUでも行われています。

具体的には、

  1. 最低限度給与額を国の平均賃金の1.5倍から1.4倍に引き下げ(受入機関への優遇制度)
  2. 提出書類である「雇用契約書」の期間を1年から6ヶ月へ短縮(受入機関への優遇制度)
  3. EU域外からの申請も可能(高度人材外国人への優遇措置)
  4. 審査期間を90日から60日へ短縮(高度人材外国人への優遇措置)
  5. 同じ国に3年(以前は5年)滞在長期居住資格取得が可能(高度人材外国人への優遇措置)
  6. 5年間の関連職務従事が高等教育学歴同等認めること(高度人材外国人への優遇措置)

などです。

上記のEなどは、最近日本でもあった「ポイント制80点以上で、在日1年で永住許可申請可能」を、3年にしたような制度改正ですね。

4. EUでの制度があまり活用されていなかった理由

理由として、労働ビザの方が有利で使いやすい、反面、高度人材を取得するには職歴・学歴証の認証が煩雑であることがあげられています。

日本でも、転職などをすると、職歴の認証や年収の証明書の取得が困難さを増しますよね。

活動範囲は、高度専門職の方が、一般的な就労ビザよりも広いです。

↑ここがEUとは違う点ですね。

5. 日本の高度人材制度の問題点は

このブログの冒頭でも話しましたが、日本での高度人材制度も利用者が少ないことが問題でした。

その理由として、次のようなことがあげられます。

  1. 「短期間で永住権がとれる」「勤務の傍ら副業ができる」などの優遇措置は、受入機関から見るとデメリットになる可能性がある。
  2. 家事使用人を雇う際に、高度人材外国人自身の給与制限がある(1,000万円以上
  3. 転職した場合には、契約機関の届出に加えて在留資格変更許可申請も必要となること。(高度人材が取り消しになることもある)
  4. 日本型企業は、高学歴若年者に入社時点では高給を支払わない傾向があること(年功序列型年収

私も高度専門職への変更申請を行ないますが、ⅠとⅣは感じるときがあります。

1年で永住権」は、雇い主にとっては、転職される可能性が増すだけでデメリットになります。

さらに、長い間、年功序列型年収制度を採用してきた日本の給与体系は、外国人には理解できないものなのです。

6. まとめ

  • 日本やEUで優秀な外国人を招き入れるために採用されている高度人材制度であるが、双方とも期待したように利用が進まず、苦戦している。
  • 利用拡大には、それぞれの国民世論への対応と、高度人材外国人側、受入機関側それぞれのメリットのバランスを考えていく制度設計が求められている。