在留資格等不正取得罪、営利目的在留資格等不正取得助長罪とは-その刑罰/罰金は

この記事を読むのに必要な時間は約 5 分です。

平成29年1月1日から施行された改正入管法に「在留資格等不正取得罪」と「営利目的在留資格等不正取得助長罪」があります。

この難しそうな漢字だらけの罪名ですが、入管法には”この名前”で条文が書かれているわけではありません。

そんな中、この法律が適用された事件が実際に発生しました。

どんな事件かというと、

ある中国人女性の在留資格更新手続時の書類にうそを書いて申請し、申請した行政書士中国籍の女性が警視庁に逮捕されたというものです。

具体的には、その行政書士は、平成29年2月に中国人女性の在留資格更新許可申請手続きの際、自ら経営する行政書士事務所で翻訳業務に従事していると“うその書類”を作成し、在留資格を不正に更新した疑いが持たれています。

その中国人女性は、実際には、八王子市にあるキャバクラ店で働いていました

警視庁によると、在留資格についての虚偽申請に罰則を設け、施行された改正入管法が適用されるのは、全国で初めてとのことです。

本当に、このような事件には、巻き込まれたくないものです。

では、「在留資格等不正取得罪」とは、どのような罪なのか。

どのような刑罰を受けることになるのか、

平成29年の入管法改正で同じく追加された「営利目的在留資格等不正取得助長罪」と共にみてみましょう。

1. 在留資格等不正取得罪とは

うそや不正手段によって、日本に上陸したり、在留資格の取得更新変更永住許可の取得などを行った場合には、罪に問われますよということです。

なんか、いままで、このような当たり前のことが問われていなかったのかと、疑問に思います。

今までは、公文書偽造で逮捕される人もいましたが、刑罰が重くありませんでした。

この在留資格等不正取得罪の条文は、入管法70条1項2号の2として追加されています。

以下、入管法から引用します。

入管法70条
次の各号のいずれかに該当する者は、三年以下の懲役若しくは禁錮若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はその懲役若しくは禁錮及び罰金を併科する。

2の2 偽りその他不正の手段により、上陸の許可等を受けて本邦に上陸し、又は第四章第二節の規定による許可を受けた者

1-1. その目的は

  • 偽造した卒業証明書虚偽の雇用証明書等を提出して不正に在留資格を得る者
  • 実習先から無断で立ち去り他の職に就く失踪技能実習生

最近は、日本企業に就職するために、母国の大学の卒業証明書が偽造されたものだったりすることがよくあります。

中国には、架空の大学の卒業証明書を、お金を支払えば作成してくれる業者もあります。

また、よく報じられていますが、技能実習生が実習先を脱走し、その後、違法滞在化するのです。

これらの偽装滞在者への対策を強化するためとされています。

1-2. その法定刑、罰金は

条文の通り、3年以下の懲役もしくは禁錮300万円以下の罰金又は両方となることがあるということです。

1-3. 偽りその他不正の手段によりとは

故意に

  • 虚偽(うそ)の申立て
  • 申請に不利益な事実を隠すこと
  • うその内容の文書を提出すること

をいいます。

1-4. 罰則の対象となる者は(第四章第二節の規定による許可を受けた者とは)

  • 上陸許可を受けて上陸した者
  • 在留資格の変更許可を受けた者
  • 在留期間の更新許可を受けた者
  • 永住許可を受けた者 等

これをみても分かる通り、幅広い申請に適用範囲は及ぶことになります。

これからも、虚偽すなわち、うそによる在留資格関連の申請は絶対にダメということです。

2. 営利目的在留資格等不正取得助長罪とは

同時に施行された法律として、改正入管法74条の6に「営利目的在留資格等不正取得助長罪」があります。

これってなんでしょうか?

特に「営利目的」って何だ?と思った人もいるでしょう。

在留資格の申請は、外国人本人は当然ですが、在留資格申請取次の研修を受けて、試験に合格し、申請取次の資格をもった行政書士弁護士留学先や勤務先の職員などが行うことができることになっています。

当事務所も、もちろんこの資格持っています。

これらの申請取次できる人達も、うその在留資格の申請に関して加担すれば、同じように罪に問われるということです。

2-1. その法定刑、罰金は

(通常の幇助犯処罰の刑(正犯の法定刑の半分)よりも重い)、3年以下の懲役か、300万円以下の罰金または両方とされています。

それだけ、我々申請取次者も事実確認を徹底し、うその書かれた書類を提出しないということが、強く求められていることになります。

言い方を換えると、提出前に我々のような申請取次者に、うその申請を事前に止め、入管には問題なしの申請のみをしなさいと言っているように感じられます。

Web上には、一部の弁護士会が、申請取次者の事実確認には限界があるので、本改正案に反対する意見を表明しています。

確かに、外国人が悪意をもって、うその内容を語ると、我々には判断つかないこともあります。

確認のしようがないのです。

それだけに、以前よりも慎重に必要書類を作成し申請する姿勢が求められていると言うことでしょう。

どちらにしても、冒頭の事件は、これらの罪に当たるので、完全にアウトです。

3. まとめ

  • 平成29年1月1日に改正入管法で「在留資格等不正取得罪」、「営利目的在留資格等不正取得助長罪」が施行された。
  • 在留資格等不正取得罪とは、うそや不正手段によって、日本に上陸したり、在留資格の取得、更新、変更、永住許可の取得などを行ったりした場合には、罪に問われますよということ。
  • 法定刑罰金は、3年以下の懲役か、300万円以下の罰金、または両方とされている。
  • 罰則の対象者は、在留資格の申請に関する広い範囲であること。
  • 営利目的在留資格等不正取得助長罪とは、申請取次者もうその在留資格の申請に関して加担すれば、同じように罪に問われるということ。