血統主義と出生地主義の違いとは/国籍法上の2重国籍問題(国籍法第2条)

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「国籍法」は、わずか20条足らずの法律です。

条文は少ないのですが、内容が濃縮されている法律なのです。

順を追って見てみましょう。

1. 出生による国籍取得(国籍法第2条)

国籍法2条には、生まれてくるときの日本国民としての要件が書かれています。

次のようなときには、日本の国籍が与えられます。

一  出生時に、父又は母が日本国民であるとき。

二  出生前に死亡した父が死亡の時に日本国民であったとき。

三  日本で生まれた場合において、父母がともに知れないとき、又は国籍を有しない(無国籍)とき。

よく帰化申請をしたいという方に、この国籍法第2条に当てはまる方がいます。

帰化申請は約1年の期間を要します。

簡単に帰化申請をするのではなく、上記の要件に当てはまっていないかを検討して下さい。

それでも日本国籍が取得できない場合(上記の要件に当てはまらない時)には、帰化申請を考えても、遅くはありません。

2. 血統主義と出生地主義

2-1. 血統主義 (けっとうしゅぎ)

一  出生の時に父又は母が日本国民であるとき。

これは血統主義とよばれるものです。

国籍取得において、親のどちらかの国籍が子の国籍となる方式です。

昔の日本は、「父系優先血統主義」でしたが、男女差別の問題撤廃条約に署名したことから、1985年から父または母どちらかが日本人であれば、子供は日本人であると変更されました。

これを、父母両系血統主義と呼びます。

また、父のみが日本国民である場合は、父母が出生時には婚姻をしていたか、父が出生前に認知をしていることが必要です。

2-2. 出生地主義 (しゅっしょうちしゅぎ)

一方、国籍取得において出生した国の国籍が付与されるという方式のことを出生地主義と呼びます。

出生地主義を取る国として、アルゼンチン、カナダ、アメリカ合衆国、ブラジル、アイルランド、グレナダ、ザンビア、タンザニア、パキスタン、バングラデシュ、フィジーなどがあります。

最近の話ですが、アメリカのトランプ大統領が「出生地主義をやめる」と言い出して、アメリカ国内外のメディアが一斉に大騒ぎしています。

2-3. 2重国籍問題

最近、某国会議員の2重国籍問題が取り上げられていましたが、これまで見てきたように、血統主義と出生地主義がそれぞれ存在すると、当然、2重国籍問題が持ち上がってきます。

父母は、日本人であるにも関わらず、会社の駐在員として米国に滞在し子供を生むと、その子供は、当然、血統主義国(日本)からは日本人として取り扱われ、米国からはアメリカ人として取り扱われます。

2-4. 実際には放棄しない2重国籍

このようなばあいには、22歳に達するまでに、どちらかの国籍を選択することになります。

しかし、実際にはかなり多数の人が、2重国籍であることを放棄しません。

さらに片方の国自体がもう一方の国に対して、放棄したかを相手の国に確かめることもしません。

そのようにして2重国籍問題は存在し続けるのです。

3. 国籍法の中の血統主義

二  出生前に死亡した父が死亡の時に日本国民であつたとき。

この条文も血統主義の1つです。

母親の国籍にかかわらず、子どもの出生前に死亡してしまった父親が死亡時に日本人であった場合には、子供も日本人とするということです。

4. 国籍法の中の出生地主義

三  日本で生まれた場合において、父母がともに知れないとき、又は国籍を有しないとき。

昭和59年12月までは父系主義が採られていました。

よって、外国人父と日本人母の間に生まれた子には日本国籍が与えられませんでした。

外国人の父親が認知もせずに、母国に帰ってしまうと、母親と無国籍の子供だけが日本に残ることになります。

そのことにより、無国籍児が問題化して現行規定への改正が行われ、昭和60年1月1日から施行されました。

経過措置として、昭和40年1月1日から昭和59年12月31日までに外国人父と日本人母の間に生まれた子で、母が現に日本人、または母の死亡時に日本人であるときは、施行日から3年以内に法務大臣に届け出ることにより日本国籍を取得することができるとされました。

5. まとめ

  • 出生による国籍取得が、国籍法第2条に書かれています。
  • 基本的に、日本は父親又は母親が日本人であれば、日本国籍が子供に与えられる「血統主義」がとられている。
  • 無国籍児が問題への対応として、国籍法改正があり、日本で生まれ父母がともに知れないとき、又は国籍を有しないときは出生地主義がとられ日本国籍が与えられる。