米トランプ大統領が主張する出生地主義をやめるメリットとは

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2018年11月6日」、この日に向けて、世界中からみんなの注目が向けられていました。

あなた、気づいていました? この日に何があったか?

そう、米国では「中間選挙の日」でしたね。

この日の共和党の得票によっては、株式市場などが安定したり、大混乱に陥ったりするわけです。

この日のために、連日連夜、メディアの報道合戦になっているのですが、在留資格や帰化をあつかう者にとって、その中に注目されるトランプ発言がありました。

みなさん、知っていますか!?

現地時間10月30日に、米ネットメディアのアクシオスが、トランプ大統領とのインタビューの一部を公開しました。

下の動画は、その記録です。

その中で、トランプ氏は「米国は出生地に基づいて国籍が付与される出生地主義を採用する唯一の国だ」と主張し「ばかげている。やめるべきだ」と語ったのです。

そこで、今日はこの発言を取り上げ、出生地主義と日本国の採用する血統主義を考えてみましょう。

1. 出生地主義と血統主義

1-1. 出生地主義(しゅっしょうちしゅぎ)

国籍取得において出生した国の国籍が付与されるという方式のことを出生地主義と呼びます。

例えば、日本人夫婦が、バカンスを楽しむために、アメリカにいっているときに、子どもが生まれたとします。

その場合には、その子どもには、アメリカの国籍が与えられます。

正確には、その時点では、日本とアメリカの2重国籍になります。

出生地主義を取る国として、アメリカ合衆国の他にも、アイルランド、アルゼンチン、カナダ、グレナダ、ザンビア、タンザニア、パキスタン、バングラデシュ、フィジー、ブラジルなどがあります。

出生地主義を取る国は、決して多くはありません。

しかし、アメリカが唯一の出生地主義をとる国ではありません。

2重国籍を解消するには、いつまでにどうしたらよいかについては、以下の記事を参考にしてください。

1-2. 血統主義(けっとうしゅぎ)

血統主義とは、国籍取得において、親のどちらかの国籍が、子の国籍となる方式です。

1-2-1. 父系優先血統主義

昔の日本は、「父系優先血統主義」でした。

子どもの父親が日本人の場合に、子どもには日本国籍が与えられるという制度です。

よって、父親が外国人の場合には、日本ではその子どもに日本国籍を与えなかったことになります。

父系優先血統主義を取る国として、アラブ首長国連邦、アルジェリア、イラク、イラン、インドネシア、エジプト、オマーン、クウェート、サウジアラビア、シリア、スーダン、スリランカ、セネガル、マダガスカル、モロッコ、レバノンなどがあります。

1-2-2. 父母両系血統主義

しかし、「男女差別の問題撤廃条約」に日本が署名したことから、1985年から父または母どちらかが日本人であれば、子どもは日本人であると変更されました。

これを、「父母両系血統主義」と呼びます。

このばあい、父のみが日本国民である場合は、父母が出生時には婚姻をしていたか、父が出生前に認知をしていることが必要です。

つまり、男性がその子どもの真の父親であることを、証明しなければならないのです。

母親が日本人の場合には、その子どもを母親が生んだのだから、それを信じて母親の国籍(この場合日本人)を与えることになりました。

父系優先血統主義」の頃には、父親が強かったのですが、「父母両系血統主義」に変わってからは、母強しといった制度になりました。

父母両系血統主義を取る国として、日本をはじめ、アイスランド、イスラエル、イタリア、エチオピア、エルサルバドル、オーストリア、オランダ、ガーナ、韓国、ギリシャ、スウェーデン、スペイン、スロバキア、タイ、チェコ、中国、デンマーク、トルコ、ナイジェリア、ノルウェー、ハンガリー、フィリピン、フィンランド、ブルガリア、ポーランド、ルーマニアなどがあります。

このように、現在では、大多数の国が血統主義を採用しています。

2. 米国トランプ大統領の主張とは

「米国は出生地に基づいて国籍が付与される出生地主義を採用する唯一の国だ」と主張し、「ばかげている。やめるべきだ」と語ったとあります。

しかし、先ほど明らかにしたように、出生国主義をとる国は、米国だけではありません

彼独特の誇張表現であることがわかります。

3. アメリカ合衆国憲法修正第14条

では、トランプ大統領反対派の言うアメリカの出生地主義を定めているアメリカ合衆国憲法修正第14条とは、どのようなものなのでしょうか。

ここに日本語訳を示します。

第1節、アメリカ合衆国で生まれ、あるいは帰化した者、およびその司法権に属することになった者全ては、アメリカ合衆国の市民であり、その住む州の市民である。如何なる州もアメリカ合衆国の市民の特権あるいは免除権を制限する法を作り、あるいは強制してはならない。また、如何なる州も法の適正手続き無しに個人の生命、自由あるいは財産を奪ってはならない。さらに、その司法権の範囲で個人に対する法の平等保護を否定してはならない。

これが、アメリカ合衆国憲法修正第14条です。

この修正14条の中の「アメリカ合衆国で生まれ、…アメリカ合衆国の市民であり、…。

如何なる州もアメリカ合衆国の市民の特権あるいは免除権を制限する法を作りあるいは強制してはならない。」

この部分が、トランプ反対派が、「アメリカ憲法出生地主義を定めており、大統領令によっても変えることはできない」と主張している根拠なのです。

動画の中でも、言及していますが、あくまでも大統領令は、executive order(大統領行政命令=行政府の中だけの命令に過ぎない)なので、憲法での決まり事が優先されるのです。

4. 出生地主義をやめるメリットとは

現在、トランプ大統領にとって、中間選挙で共和党が大勝することは、最重要事項でした。

そのために、選挙で多くの票がとれるならば、考えられるすべての手段を使ってくることでしょう。

そして、出生国主義をやめるメリットは、「不法移民対策」であることに、間違いありません。

彼は、フロリダ州での集会で、「この制度の下では、米国に不法入国した人に子どもが生まれれば、その瞬間からその子どもは生涯、米市民となる。

この制度によって出産旅行という産業まで作り出した。

これは妊娠した母親が米国に旅行して、子どもをたちまち米市民にするというビッグビジネスだ」と語ったとあります。

このことから、出生地主義をやめることは、中南米から押し寄せる不法移民中国からの出産ツアーについての対応策だと考えられます。

5. まとめ

  • 出生地主義とは、国籍取得において出生した国の国籍が付与されるという方式のこと。
  • 血統主義とは、国籍取得において、親のどちらかの国籍が子の国籍となる方式のこと。
  • 米国トランプ大統領の主張は、彼独特の誇張表現が含まれている。
  • 出生国主義をやめることは、「不法移民対策」であることに、間違いない。