在留資格「介護」技能実習「介護」EPA「介護」比較してみました

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皆さま、この記事を見ている人は、ご存知と思いますが、2016年11月に国会で改正出入国管理法が成立しました。

「これ、何?」かって。

何が変わったのか簡単に言うと、主に在留資格に関する2つの法律が改正・追加されたことにあります。

その2つとは、介護職に就くためのビザとして在留資格「介護」在留資格「技能実習」に職種「介護」が追加されたことなのです。

今日は、そのうち、前者の在留資格「介護」が追加されたことを中心にみてみましょう。

1. 在留資格「介護」vs 在留資格「技能実習」職種「介護」vs 在留資格「特定活動 」EPA「介護」比較

在留資格「介護」技能実習制度「介護」EPA「介護」

日本で介護職につきたいとお考えの外国人のために、従来からあるEPA(経済連携協定)による「介護」(在留資格「特定活動」)と今回の2つの介護について、受け入れ条件・内容などについて、比較してみました

これらの比較により、それぞれの各「介護」関連在留資格の特徴やメリット・デメリットや、あなたにはどの介護が適しているかなどがわかります。

 EPAでの「介護」在留資格「介護」技能実習制度での「介護」
在留資格特定活動介護技能実習
受入国EPA締結国(インドネシア、フィリピン、ベトナム)制限なし中国、インドネシア、ベトナム、フィリピン、タイ、ペルー、ラオス、スリランカ、インド、ミャンマー、モンゴル、ウズベキスタン、カンボジア、ネパール、バングラディッシュ
就労期間4年間。ただし、介護福祉士の国家試験に合格した場合は永続的に滞在可。最長5年(更新可)1,3,5年(諸条件をクリアし技能実習3号になれば5年)
雇用契約基本的に日本人と同等基本的に日本人と同等都道府県の定める最低時給以上
日本語能力おおよそN2以上おおよそN2以上入国時N4所持、1年後N3の取得義務がある。
(2017年9月29日厚生労働省決定→入国後1年以内に「N3程度」に合格すれば最長5年間働ける。不合格なら帰国することになる)
人材紹介団体JICWELS(公益社団国際厚生事業団のみ)各監理団体
配属までに必要な時間マッチングの約1年留学ビザとして入国→介護福祉士養成施設(2年以上)→介護福祉士資格取得→配属例:面接後4~5ケ月(ベトナム)
面接後6~7ケ月後(ミャンマー)
メリット・政府の政策的な側面からのバックアップが強い
・政府から補助金が受けられる
・4年後国家試験に合格すれば介護士として定員として数えられる
・受入可能国の指定がない
・制限の多いEPA制度を使わなくても介護士を雇うことができる
・膨大な介護職ニーズに対応可能
・R/Dを取り交わしている送り出し国15カ国から受け入れ可能
・N3相当まで現地で教育し、基礎的介護技能教育全般も現地で行う送出し機関から受け入れられれば、相当有用に活用できる
デメリット・EPAで日本に来ても難しい介護福祉士試験に受かる人が少ない
・国家資格取得後、帰国者が多い
・結果的に帰国してしまう人が大半である(90%以上)
・介護士採用まで時間がかかりすぎる
・本人に留学費用がかかりすぎ、かつ、介護福祉士に受からなければ結局日本で働けない
・国家試験取得後、帰国者が多いと予想される
・求められる日本語能力がEPAや在留資格・介護と比べて低い
・国家資格を所持していない
・N4レベルで入国させると、労働しながらN3合格はほぼ無理で1年で帰国することとなる
・基礎的な介護技能教育全般を行うことなしに受け入れると、日本での介護教育に多額の費用と時間がかかってしまう

こうやって比較してみると、各制度での介護に対する考え方の違いが見えてきますよね。

2. 制度によって受入国に制限がある

表中の「受入国」を参考にして下さい。

2-1. EPAは3カ国からのみ

EPA(経済連携協定)は、日本とインドネシア、フィリピン、ベトナム間のものなので、受入国はこの3カ国に限られています

2-2. 在留資格「介護」はどこの国の人もOK

それに対して、在留資格「介護」どこの国の人でもよく、日本の指定された介護福祉士養成施設を卒業し、国家試験に合格すれば、就労可能です。

2-3. 在留資格「技能実習」は15カ国からのみ

在留資格「技能実習」「介護」も、正確に言うと、次の15カ国に限られています。

中国,インドネシア,ベトナム,フィリピン,タイ,ペルー,ラオス,スリランカ,インド,ミャンマー,モンゴル,ウズベキスタン,カンボジア,ネパール,バングラディッシュ。

3. 就労期間

3-1. EPAの場合、就労期間は基本4年です

EPAの就労期間は、基本的に4年です。

しかし、その4年間の間に国家試験である「介護福祉士」に合格すれば、好きなだけ日本で介護職についていることができます。

3-2. 在留資格「介護」の場合、更新すれば永久も可

在留資格「介護」は、国家試験に合格すれば、基本的には他の就労ビザと同じですから、更新申請を行えば、これもずっ~と好きなだけ日本ではたらくことができます。

この「介護」で、10年間日本で暮らし問題など起こさなければ永住許可申請可能になります。

まだ、できたばかりの在留資格なので、この居住要件10年が短縮されるような特例措置などはありません

もし、あなたが将来、永住権をお考えならば、永住許可申請の居住要件のについては、以下のブログを参照してください。

3-3. 在留資格「技能実習」の場合、最大5年

在留資格「技能実習」の場合には、技能実習1号として1年又は6月、その後技能実習2号として1年更新により1号と通算して最大3年間、日本で介護職として就労可能です。

さらに、今回の法律改正で、技能実習3号として通算最大5年間は就労可能になりました。

ただし、2号終了後、いったんは1ヶ月以上は母国に帰国することが必要になりました。

在留資格「技能実習・介護」に関して、日本政府が動きを見せているようです

詳細に関しては、「在留資格「技能実習・介護」の外国人、介護福祉士試験合格で在留可能に」を御覧ください。

4. おすすめは

在留資格「介護」です。

他の2つは、人材紹介団体があります。

それに比べて、在留資格「介護」の場合には、そのような団体はありません。

一見、人材紹介団体があると安心のように思えますが、自分に自信があれば、ある程度自由に介護施設と雇用契約を結べますし、実力主義という感じです。

在留資格「介護」は、介護のプロフェッショナルとみなされているので、介護職であっても、訪問介護が可能です。

それに対して、EPA「介護」「技能実習・介護」の場合には、事業所内介護のみに限られています。

在留資格 介護をとりたい

5. 在留資格「介護」にデメリットは

もちろん、あります。

EPAのように、政府からの政策的なバックアップ監理団体と良い関係を結ぶことができれば、それは捨てがたいですし、そのような制度的なものに頼ることができません。

介護福祉士としてのライセンスと現場での知識と技能と人脈で日本で働いていくことになります。

人脈を築くには日本語習得と笑顔が重要です。

また、介護福祉士養成施設を卒業するまでの学費や生活費など、一番お金がかかるのではと思います。

留学までにお金を貯めることや日本での資格外活動許可を取得してアルバイトを行う、母国の親戚にお金の負担をお願いする、各種奨学金を利用する等が必要です。

6. 介護福祉士養成学校の卒業年度に関する経過措置とは

ところで、表中の在留資格「介護」のデメリットに「介護士採用まで時間がかかりすぎる」とあります。

この項目に関しては、平成33年度までの卒業であれば、あまり気にする必要はありません。

経過措置があるからです。

以下がその説明です。

「平成33年度までに介護福祉士養成学校を卒業の人は経過措置として、卒業した月の属する年度の翌年度の4月1日から5年間、国家試験受験の有無に関わらず、介護福祉士の資格を有することとなります。」

分かりやすく簡単に言うと、「平成34年3月末まで(2022年3月末)に養成学校を卒業した人は、各年度の4月から、国家試験に合格しなくても介護福祉士の資格をもらえます」ということです。

更に、「この卒業後5年間のうちに、国家試験に合格するか、介護等の業務に5年間従事するか、いずれかの条件を満たすことにより、5年間経過後も引き続き、介護福祉士資格を有することになります。」

「日本語の試験がちょっとにがて」「でも、実務はOK」という人でも、じっと我慢をして5年間介護の業務に従事していると、5年後も介護福祉士の資格者になれるというのだから、相当お得です。

ただし、この特権、平成33年度までに卒業が必要なことは強調しておきたいです。

 

7. 最近の政府の動き

7ー1. 在留資格「技能実習・介護」から在留資格「介護」への変更を検討中

2017年末になり、日本政府の動きが報じられるようになりました。

それらによると、厚生労働省と法務省は在留資格「技能実習生」について、「介護福祉士の国家試験に合格すれば日本で働き続けることができる」ように制度を見直しています。

本来、技能実習制度では日本で最先端の技術を身に付けて、実習後には母国に帰国してその技術をひろめてもらうことが目的です。

国家試験に合格し、その後日本に在留し続けることになると、技能実習の目的が達成できなくなるのです。

一方で、2025年には37万人介護人材が不足するという「2025年問題」が目の前に迫り、技能実習の目的もどこかにいってしまうほどなのでしょう。

7ー2. 在留資格「特定技能1号・介護」から在留資格「介護」への変更を検討中

2018年12月の臨時国会で、審議されている在留資格「特定技能」のなかで、次のような変化があります。

介護の分野で特定技能1号として、仕事を3年以上続けた後に、介護福祉士の資格を取れば、既存の在留資格「介護」に移行できるというものです。

そもそも、創設される在留資格「特定技能」のなかで、「介護」を含むことは決定されていて、その中で上記のような議論がなされたようです。

これが実現すると、「介護」職で外国人が日本で働くための4つ目の在留資格になりそうです。

上記の表も、早々に更新が必要になるかもしれませんね。

8. まとめ

3つの各制度はそれぞれメリットやデメリットあり、単純にこれが「問題ない」とは言えませんが、個人の意気込みやスキルを考えて、進むことが重要です。

もし、あなたが介護に関わる外国人だったら、上の表をじっくり検討して下さい。

新たに次のような情報が飛び込んできました。

介護の分野で特定技能1号として、仕事を3年以上続けた後に、介護福祉士の資格を取れば、既存の在留資格「介護」に移行できるというものです。

これが、「介護」関連の4つ目の在留資格になるかもしれません。