難民ビザとは/日本で就労ビザとして申請するネパール人やベトナム人たち

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人手不足で黒字倒産が増えているニュースを、ときどき、目にするのではないでしょうか。

安倍内閣も、最近では「骨太の方針」というメイン政策の中で、「技能実習後は追加で5年間の在留を認める方針を提案する」などのニュースが各マスコミから報道されています。

実際のところ、建設や農業の分野で、人手不足は著しいと、話を聞くことが、私の周りからも、たびたびあります。

そのような中で、難民ビザがあれば日本で仕事につけるという話が、外国人の中にひろがり、「今年も難民申請数が過去最高になった」とのニュースも聞こえてきました。

そこで、今回は、「難民ビザ」とはなにか難民ビザを取得するまでの取得方法などについて、みてみましょう。

1. 在留資格「難民」は存在しない

入管法のどこをみても、在留資格「難民」というものはありません。

先日、NHK「クローズアップ現代+」という番組の中では、盛んに「難民ビザ」という言葉は使われていました。

この場合の「難民ビザ」とは、何なんでしょうか。

2. Visa Nanminは外国人の間で広まった言葉

その放送の中で言及していましたが、日本に在留している外国人の中で、「Visa Nanmin」や「難民ビザ」という言葉が俗語として使われているのです。

Visa Nanminや難民ビサは存在しない

Visa Nanminや難民ビサは存在しない

3. 難民ビザをとる手続きとは

では、どのようにしたら事実上の難民ビザをもらえるのでしょうか。

難民ビザをもらうためには、難民認定申請により、次のような手続きを経ることになります。

難民認定申請フロー

図1.難民認定申請フロー

図1は、入管のホームページに公開されているフローチャートです。

日本で難民申請をする外国人の多くは、外国から船や飛行機で日本に上陸し、いきなり、難民認定申請をするのではありません。

3-1. 難民申請

最初は、「短期滞在」や「留学」、「技能実習」の在留資格をもって、何事もなく、来日した外国人が、在留資格の期限近くになると、各地方入国管理局に難民申請を行います

図1の(1)の申請です

そのほとんどは、日本での就労が目的のために、申請するのです。

もともと所有していた在留資格の有効期間中は、その在留資格をもって日本で生活をしています。

その期限が近くなると日本で就労できなくなるために、難民申請をおこなうのです。

3-2. 難民審査→「認定」or「不認定」

次のステップでは、申請に基づき難民審査官が審査を行い、形式的に法務大臣が申請者のことを、難民と「認定」または「不認定」処分にします。

図1の(2)参照。

3-3. 不認定の場合→審査請求

不認定の場合、その処分に不服のある場合には、入国管理局の上級官庁である法務省に「審査請求」を行います。

図1の(3)参照。

審査請求」というのは、「あるお役所に許可申請等を行ったにもかかわらず、不当にあつかわれて不許可にされた」ために、そのお役所の上のお役所に許可か不許可判断してもらうことをいいます。

この場合、上のお役所とは、入国管理局の上、すなわち法務省になります。

そこには、難民審査参与員なども参加して、最終的に申請者が難民かそうでないかの判断がくだされるのです。

4. 難民ビザの正体は

難民申請した時点から、6か月は就労できないのですが、申請から6か月経過後は、就労を許可する運用が行われてきました

このことは、入管も認めています。

この「申請から6か月経過後は、就労を許可する」ことが、外国人の間で、日本では難民申請後、就労が許可される変わって理解されてしまったのです。

この在留許可が難民ビザの正体なのです

つまり、「難民認定申請ののち、不認定になっても、申請から6か月後は、就労が許されるビザ」難民ビザなのです。

ちなみに、難民認定されると、在留資格「定住者」と同等の在留資格が与えられます。

5. 誤解されている原因は

多くの外国人が、難民ビザがあると、誤解している原因の1つは、難民申請された時点から、とにもかくにも、判断されるまでの時間が長いことがあります。

もし、難民申請を行い、その場で不認定(難民ではないと判断されること)になり、即、国外退去となれば、難民ビザがあるなんていうような誤解は生まれなかったということです。

ご存知の通り、難民認定申請を行い認定される外国人は、年間約30人前後と非常に少ない現状があります。

元気な外国人に、「日本に一時的に住んでもよいが、6か月間は働くな」といっても聞く耳を持ちません。

さらに、冒頭に述べた日本中で起こっている人手不足の状況で、需要と供給が、それぞれあるのにもかかわらず、働くなと言っても、無視して働いてしまう人がいてもおかしくありません。

むしろ当然の行為なのです。

6. 短期滞在、留学、技能実習が主な流入経路

入管もそのような状況から、2018年1月15日に、難民認定手続中の留学生や技能実習生に対するこれらの在留資格の手続きを見直し、従来よりも早く、認定判断がされるように変わりました

その変更された難民認定手続に関しては、この記事を御覧ください。

7. 実務として

入管業務を行っている行政書士事務所には、しょっちゅう、相談の電話がかかってきます。

実際に難民申請を行いたい外国人と面談したことも多く、ベトナム人やネパール人など、ほとんどが東南アジアからの留学生や技能実習生です。

相談内容はズバリ、「日本で引き続き生活したいのですが難民申請できますか」というものが大半です。

彼らは、自分が難民ではないことを自覚しています。

8. 今後の日本政府の対応は

安倍内閣の骨太の方針という政策の中で、早ければ2019年の4月にも、「技能実習生としての5年間のあとに更に5年の在留資格を与える」とか「「在留資格「特定技能(仮称)」という人手不足解消の在留資格を設ける」などの話が聞こえてきています。

2019年4月からの在留資格「特定技能」に関しては、次の記事を御覧ください。

9. 真の難民を守るために

世の中には、シリアでの内戦など、戦争中の国も少なくありません。

本来は、難民認定申請は、そのような人が行うべき申請であり、休職中の外国人が行うものではありません

出来るだけ早く、政府の対策が功を奏して、日本で働きたい外国人日本に守ってもらいたい外国人分けて管理することが必要なのです。

10. まとめ

  • 「難民ビザ」という在留資格は存在しない。
  • 難民申請された時点から、判断されるまでの時間がかかっていたことが大きな原因の1つとされている。
  • 「申請から6か月経過後は,就労を許可する」ことが外国人の間では、日本では難民申請後、就労が許可される難民ビザがとれると誤解されている。
  • 2018年1月15日に難民認定手続中の留学生や技能実習生に対するこれらの在留資格の手続きを見直し、従来よりも早く認定判断がされるように変わった。
  • 安倍内閣の骨太の方針という政策の中で、出来るだけ早く、日本で働きたい外国人と日本に守ってもらいたい外国人を分けて管理することが必要。