永住申請要件 3-4 国益要件/公衆衛生要件/有害となるおそれがないこと

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今回は永住許可申請の「国益要件」のひとつである「公衆衛生要件」について。

何か聞き慣れない言葉ですが、法務省が公表している文書の中には、ちゃんと書かれています。

参考:永住許可に関するガイドライン(平成29年4月26日改定)

しかし、あまり、この項目で永住申請が不許可になったという事例が少ないために、通常は問題になりません。

行政書士の研修会に行っても、この項目が話しの議題に上がることはありません。

しかし、一握りの外国人や世界的な伝染病等が流行ると問題になりそうです。

そこで、今日はそんな目立たない「公衆衛生要件」についてみてみましょう。

1. 公衆衛生上の観点から有害となるおそれがないこと

永住許可に関するガイドラインには、このように書かれています。

これだけでは、何のことだか、わかりませんが、数年前にアフリカの数カ国で広まり多くの犠牲者の出たエボラ熱や、蚊を媒介として伝染するジカ熱、デング熱、マラリアなどの伝染病がテレビの話題となっていました。

  • そんな時に、法律ではどの様に、それらの伝染病などを防ごうとしているのか。
  • そもそも、伝染病とは何なのか?
  • どのような病気があるのか?

などの対策および予防のために、ある法律があります。

2. 感染症予防法

そんな時にでてくる法律が、「感染症予防法」です。

この法律には、目的として、次のように書かれています。

第一条 「この法律は、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関し必要な措置を定めることにより、感染症の発生を予防し、及びそのまん延の防止を図り、もって公衆衛生の向上及び増進を図ることを目的とする。」とあります。

目的が、公衆衛生の向上及び増進を図ることであれば、入管の要求する公衆衛生要件とは、それに基づいているはずです。

ということなのですが、入管はこの「感染症予防法」に基づいて公衆衛生要件を定めていると言っているわけではありません。

しかし、日本では公衆衛生に関しての代表的な法律ですし、関連法規と思われる、この法律をみてみましょう。

3. 感染症予防法の定義する「感染症とは」

その第6条に定義として載っています。

「感染症」とは、一類感染症、二類感染症、三類感染症、四類感染症、五類感染症、新型インフルエンザ等感染症、指定感染症及び新感染症をいう。

というように、感染症を8つに分類しています。

例えば、一類感染症には、以下のような感染症があげられています。

  1. エボラ出血熱
  2. クリミア・コンゴ出血熱
  3. 痘そう
  4. 南米出血熱
  5. ペスト
  6. マールブルグ病
  7. ラッサ熱

もちろん、これらが世の中の伝染病の全てではありません。

感染症予防法の中には、たくさんの伝染病が定義されており、世の中の感染症のほとんどを網羅しています。

日本人としても、日本で生活する外国人であっても、これらの病気にはかかっては、生活していくことが不安定になることになります。

4. どのような人が永住許可申請できないのか

風邪や病気

感染症予防法で定義する感染症は、たくさんあり、これらを予防する観点で、有害となるおそれがある人、すなわち、これらに感染している人キャリアー永住許可されないとなります。

まあ、当然のこととですが。

万が一にでも感染しているときには、すぐに病院に行って治療してくださいね。

5. 実際の現場では

現場では、このような感染症にかかっている場合には、永住許可申請どころではありませんし、現実的ではありません。

公衆衛生要件は、実質上効力のない要件であるとも思います。

過去に、このような感染症にかかったことのある人は、医者による「現在は感染していません」という診断書が必要になることがあります。

また、最近まで母国である感染症が流行っているようなときに、帰国歴があれば、同じように診断書の提出が求められることもあるかもしれませんね。

6. まとめ

  • 永住許可に関するガイドライン(平成29年4月26日改定)に、「国益要件」のひとつである「公衆衛生要件」が求められている。
  • そんな時にでてくる法律が、「感染症予防法」です。
  • 目的として、第一条 「この法律は、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関し必要な措置を定めることにより、感染症の発生を予防し、及びそのまん延の防止を図り、もって公衆衛生の向上及び増進を図ることを目的とする。」
  • 感染症予防法で定義する感染症は、たくさんあり、これらを予防する観点で、有害となるおそれがある人、すなわち、これらに感染している人やキャリアーは永住許可されないと考えることができます。

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