永住許可されやすい日本への貢献とは「許可・不許可」事例から読み解く<文化・芸術分野編>

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最近、法務省令の改正もあり入国管理局に申請する人がさらに増えている在留資格「永住者」ですが、許可されるには、基本的に日本への貢献があることが要求されています。

居住要件として、原則10年日本に在留し、そのうち5年以上就労ビザをもって就労していることとされています。

この原則に対して、7つの特例というものが法務省より示されています。

これらの特例のうち、当ブログでは取り上げることのなかった4番目の特例について検討してみます。

4番目の特例とは

(4)外交,社会,経済,文化等の分野において我が国への貢献があると認められる者で,5年以上本邦に在留していること

法務省のホームページより引用

また、この特例に関しては、”「我が国への貢献」に関するガイドライン”というものがあり、どのようなことが、日本への貢献かどうかを判断する基準が示されています。

<文化・芸術分野>でのガイドラインは次のように定められています。

  • 文学,美術,映画,音楽,演劇,演芸その他の文化・芸術分野における権威あるものとして一般的評価を受けている賞を受けた

例:ベネチア・ビエンナーレ金獅子賞,高松宮殿下記念世界文化賞,アカデミー賞各賞,カンヌ映画祭各賞,ベネチア映画祭各賞,ベルリン映画祭各賞

  • 文学,美術,映画,音楽,演劇,演芸その他の文化・芸術分野で指導者又は指導的地位にある者として,おおむね3年以上日本で活動し,日本の文化の向上に貢献のあった者

→文化・芸術分野での非常に有名な賞を受けていたり、必ずしも受賞者だけではなく指導者なども貢献とみなされること。そして、おおむね3年以上の指導歴があることがポイントのようです。

それを参考にしながら、永住許可・不許可事例を検討してみましょう。

まずは、文化・芸術分野の不許可事例から。

不許可事例1

画家として多数の作品を製作・保有し,美術館の建設後に寄贈するとして申請があったが,在留状況が良好とは認められず(不正な在留に関与),不許可となった。

→「不正な在留に関与」が、不許可となった直接の原因ですね。この文章からは、画家としては問題がなかった様に見えるので、特殊な例と言えます。

 

不許可事例2

約9年間,本邦に在留し,作曲活動や自作の音楽作品発表会を行い,我が国と本国との音楽分野における交流に努めているとして申請があったが,文化・芸術分野における我が国への貢献とは認められず,不許可となった。

日本への貢献度が少なかったと思われます。

不許可事例3

約9年間,本邦に在留し,我が国の芸能人による本国での公演の実現,我が国と本国の企業交流にかかるイベント実現等を理由に申請があったが,我が国への貢献とは認められず,不許可となった。

→本国や企業への貢献はあったものの、日本への貢献度が少なかったと判断されたようです。

次に許可事例です。

許可事例1

音楽分野の大学教授として我が国の高等教育活動に従事し,その間,無償でアマチュア演奏家を指導するなど我が国の教育や文化の振興に貢献があったものと認められた(在留歴5年10月)。

→教育や文化面からの日本への貢献が高かったと評価されています。

許可事例2

日本文学研究者として勲3等旭日中綬章授賞のほか各賞を受賞し,文学の分野での貢献があったものと認められた(通算在留歴9年,入国後3月)。

文化勲章を受賞している実績から言って、当然日本文化への貢献度が評価されたものです。

許可事例3

入国以降,一貫して地方における英語教育に従事する一方で,地方の方言で語りながら伝統的楽器を演奏することで伝統文化を内外に宣伝する活動あるいは大学での講義を通じて外国人の視点に立った我が国の地方文化を内外に広める活動を行っており,文化・芸術分野における貢献が認められた。(在留歴7年)

→英語教育を日本の地方において広めた活動は、当然日本に貢献していると評価されたものです。

まとめ

  • 数値で示された基準(おおむね3年以上など)がある場合、その基準値を確保することが、永住権取得のポイントとなる。
  • 不許可事例2および3から、文化・芸術活動を行う上で、日本にどれだけ貢献してきたかが、永住許可をうける上で評価されている。
  • ただ単に、その分野で有名であることや実績の派手さではなく、地方において目立たない活動であっても、日本文化への貢献度が評価の対象になっている。