永住権申請のための居住要件とは何ですか。原則10年在留に関する特例とは

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当事務所には「日本に住んで△年経ちますが、永住権取れますか?」というお問合わせがよくあります。

たしかに、永住権を取れば、ビザの更新手続などが不要になります。

くわえて、社会的な信用も上がり住宅ローンも利用できるようになります。

また、就労制限もなくなり、自由に好きな職業にも就くことができます。

さらに、日本での起業が容易になるなど、メリット満載です。

永住権のメリットに関しては、ブログ「永住許可の6つのメリットとは」を御覧ください。

そもそも、何年日本に住むと永住権を取得できるのかを、ちゃんと理解している人は意外に少ないのです。

理由は、入管法の改正がたびたび行われて、その都度変わるので、変更についていけないというのが正しい表現かもしれません。

ちなみに、1980年代には、「日本に20年以上住んでいないと永住権は取れない」と言われていました。

これでは、ほんの一握りの外国人しか永住権が取れないことになってしまいます。

0. 在日外国人の約30%は永住者

いままで入管法が改正されるたびに、永住権の居住要件が緩和され、多くの永住権申請がなされています。

これを裏付けるように、法務省が発表した2016年12月末時点のデータによると、永住者727,111人の永住者が登録されています。

これは、同時点での在日外国人総数の約30.5%を占めます。

現在28種類ある在留資格のうち、永住者のみで30%を占めるのですから、多くの永住権申請が行われていると言えるでしょう。

では、今日の本題に入ります。

「永住権申請のためは、何年日本に住んでいる必要があるのでしょうか。原則10年在留に関する特例とは何ですか?」

私からの答えは「原則10年間以上日本に住む必要があるが、いろいろな特例があり、5年、3年、1年になる場合があります」というものです。

では、一つ一つ公表されている法務省令を取り上げて見ていきましょう。

1. 原則10年居住

原則として引き続き10年以上本邦に在留していること。ただし、この期間のうち、就労資格又は居住資格をもって引き続き5年以上在留していることを要する。

下記に取り上げている特例に当たらない外国人の場合(一般の外国人)には、原則10年間日本に住んでいることが求められます。

さらに、この10年間のうち5年以上は、就労ビザまたは身分系ビザで日本に居住していることが必要です。

就労ビザとは、「教授」や「技術・人文知識・国際業務」「技能」「経営・管理」などの日本で働くために必要な15種類あるビザのことを言います。

これらの就労ビザまたは身分系ビザのうち、どれかをお持ちになり、5年以上日本で生活することが必要です。

就労ビザは、別名ワーキングビザとも言ったりします。

では、次からは7つある特例を見てみましょう。

2. 日本人、永住者及び特別永住者の配偶者の場合

日本人、永住者及び特別永住者の配偶者の場合、実体を伴った婚姻生活が3年以上継続し、かつ、引き続き1年以上本邦に在留していること。その実子等の場合は1年以上本邦に継続して在留していること

これは、配偶者が日本人や永住者、特別永住者の場合には、結婚生活が3年以上続いていて(外国に住んでいても可)、かつ、引き続き1年以上日本で結婚生活が営まれていることが条件となります。

たとえば、夫が中国人、妻が日本人で、中国で結婚生活を開始し、2年間生活した後、日本に転居して、そのまま1年間以上生活していると、婚姻生活は3年であり、この条件に当てはまります。

ただし、「実体を伴った婚姻生活」要求されていますので、偽装結婚と疑われるような行動や生活状況がうかがわれるようでは、条件を満たしているとは言えず、不許可となってしまいます。

また、明確な規定はありませんが、「継続して」の意味するところは、次のように実務上運営されています。

「1年のうちトータル150日以上外国に行っている、また、1回の渡航が3ヶ月以上である場合など」は、「継続して」とはみなされません。

配偶者ではなくても、実子等の親族である場合には、1年以上日本に住んでいることが要求されています。

3. 定住者の場合

「定住者」の在留資格で5年以上継続して本邦に在留していること

これは、この条文そのままです。

その場合の「継続して」も前述の場合と同じです。

「定住者」は、ブラジルやペルー、フィリピン人の2、3世として多く来日しており、家族単位で日本の自動車産業等に就労し、5年以上の在留の後、永住権をとる方も多くいます。

4. 難民の場合

難民の認定を受けた者の場合、認定後5年以上継続して本邦に在留していること

日本では、難民認定される方が非常に少ないので有名ですが(2016年度は28名)、この難民認定を受けた方も、5年以上継続して日本で生活していれば、永住許可申請をすることができます。

5. 我が国への貢献があると認められる者の場合

外交、社会、経済、文化等の分野において我が国への貢献があると認められる者で、5年以上本邦に在留していること

この5番目の特例については、「我が国への貢献」に関するガイドラインとして明確に示されているので、リンク先をご参照下さい。

この中には、2016年4月の改正で、「日本企業の経営者として、おおむね3年以上従事し,1億円以上の投資を行った者」や「IoT 又は再生医療等の「成長分野」のプロジェクトにおおむね5年以上従事している者」などが追加されています。

6番以降は、2017年4月26日に、法務省令が改正されて新設された特例です。

6. 地域再生法に関連した活動によって我が国への貢献があると認められる者の場合

地域再生法(平成17年法律第24号)第5条第16項に基づき認定された地域再生計画において明示された同計画の区域内に所在する公私の機関において、出入国管理及び難民認定法第7条第1項第2号の規定に基づき同法別表第1の5の表の下欄に掲げる活動を定める件(平成2年法務省告示第131号)第36号又は第37号のいずれかに該当する活動を行い、当該活動によって我が国への貢献があると認められる者の場合、3年以上継続して本邦に在留していること

この特例は、地方再生法に基づいて、内閣府地方創生推進事務局が中心となって、地方再生計画がすすめられている活動に、「特定活動」の在留資格で従事している外国人に対して、3年以上日本に在留している場合に与えられるものです。

地方再生計画は、2017年5月現在、累計4,147件のものが申請認定されていますが、そのうち、すでに終了したものが1,534件あります。現在でも2,600件近いプロジェクトが活動の対象になっています。

例をあげてみると、北海道で「北海道未来人財応援プロジェクト」や鹿児島県大島郡徳之島町の「コワーキングスペースを拠点とした離島発しごと× 学び×暮らしのカタチづくり計画」などがあります。

詳しくは、内閣府の地方創生推進事務局のHP「認定された地域再生計画について」を御覧ください。

このような計画(プロジェクト)に、「特定研究活動に従事する者」や「特定情報処理活動に従事する者」として参加活動し、3年以上継続して日本に在留している者に対して、永住者許可申請を可とするというものです。

この「出入国管理及び難民認定法第7条第1項第2号の規定に基づき同法別表第1の5の表の下欄に掲げる活動を定める件(平成2年法務省告示第131号)第36号又は第37号」とは、以前は、在留資格「特定活動 告示36号および37号」として置かれていましたが、現在は在留資格「高度専門職」に変更されています。

7. 高度専門職省令に規定するポイント計算で70点以上有している者

出入国管理及び難民認定法別表第1の2の表の高度専門職の項の下欄の基準を定める省令(以下「高度専門職省令」という。)に規定するポイント計算を行った場合に70点以上を有している者であって、次のいずれかに該当するもの

さらに、2つの項目に別れています。

7-1. 高度人材外国人で3年以上日本に継続して生活している場合

「高度人材外国人」として3年以上継続して本邦に在留していること。

これが、在留資格「高度専門職」で、ポイント70点以上の人は、3年で永住許可申請ができるという画期的な特例です。

この特例ができる以前は、永住権を取得するには最短5年でしたが、今回の法務省令の改正で新設された特例5、6、7で5年の壁が更に短くなりました。

特例6-1と7-1は多くの高度専門職の資格をもつ人が狙いやすい条件と言えるでしょう。

ポイント自体も、特別加点される項目が追加され、比較的容易に70点や80点に達するようになっています。

原則10年や従来の高度人材、今回特例として追加された高度人材の永住許可申請可能要件を下記の図にまとめました。

高度専門職省令に規定するポイント採点表(Excel)は、入国管理局のHPからダウンロードできますので、あなたも確認してみることをおすすめします。

永住許可申請可能要件1

永住許可申請可能要件1

7-2. 3年以上日本で生活している者で、永住許可申請日から3年前の時点にポイントが70点以上であった者

3年以上継続して本邦に在留している者で、永住許可申請日から3年前の時点を基準として高度専門職省令に規定するポイント計算を行った場合に70点以上の点数を有していたことが認められること。

実は、特例6-1よりもこちらのほうが画期的な省令改正なのです。

この省令の意味するところは、3年以上日本に住んでいる者で、在留資格「高度専門職」でなくても、永住権許可申請時から3年前の時点でポイントが70点以上であれば、永住許可申請できますよということです。

たとえば、在留資格「技術・人文知識・国際業務」である外国人は、原則10年での永住権許可申請でした。

それを短縮するには、ポイントを70点以上を満たした上で「高度専門職」に在留資格を変更する必要がありました。

その変更が不要であり、3年前時点でのポイントを満たせば、永住許可申請できるというものです。

永住許可申請をする時点から、過去3年前や1年前にさかのぼり、その時点でのポイントが70点(7-2では80点)以上であれば、その永住許可申請は認められるということです。

永住許可申請可能要件

永住許可申請可能要件2

8. 高度専門職省令に規定するポイント計算で80点以上有している者

高度専門職省令に規定するポイント計算を行った場合に80点以上を有している者であって、次のいずれかに該当するものとされています。

この項目も、同様に2つの項目に別れています。

8-1. 高度外国人で1年以上日本に継続して生活している場合

「高度人材外国人」として1年以上継続して本邦に在留していること。

これは、高度専門職の資格を有する者が、ポイントが80点以上であれば、1年以上継続的に日本で生活していれば、永住許可申請できますよということです。

さらに分かりやすく言うと、特例6-1のポイントが80点以上であれば、1年で永住許可申請可能ということになります。

8-2. 1年以上日本で生活している者で、永住許可申請日から1年前の時点にポイントが80点以上であった者

1年以上継続して本邦に在留している者で、永住許可申請日から1年前の時点を基準として高度専門職省令に規定するポイント計算を行った場合に80点以上の点数を有していたことが認められること。

これも、特例7-2の場合と同じで、1年以上日本に住んでいる者で、在留資格「高度専門職」でなくても、永住権許可申請時から1年前の時点でポイントが80点以上であれば、永住許可申請できますよということです。

「ポイントという条件を満たせば、1年ばかりの在留で永住権が与えられるなんて本当に良いのか?」という議論の火種になっている省令改正ですが、いままでのもので最も画期的なものといえるでしょう。

 

9. まとめ

  • 日本居住10年要件とは、原則10年間日本に在留し、そのうち5年以上は就労ビザを所有して日本に在留していれば、永住権許可申請が可能になる条件である。
  • 特例措置は7つあり、それぞれの要件を満たすことが必要である。
  • 2017年4月26日に、法務省令が改正され、ポイントが80点以上を満たしていると、1年で永住許可申請が可能になる特例ができた。
  • 永住許可の「原則10年居住」はあるものの、一方では、日本人の配偶者や永住者の配偶者、定住者、難民認定されたもの、高度人材と呼ばれる日本に貢献が高いと思われる外国人人材には、10年が短縮される特例がある。特に高度人材は1年や3年で永住許可申請が可能となっている。