ラーメン「一蘭」に何があったのか-不法就労助長罪と資格外活動違反

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ラーメン

ラーメン、好きですか?

日本人ばかりではなく、最近では外国人も日本のラーメン大好きですよね。

短期滞在ビザを取得して、わざわざ外国からラーメンのみを味わいに来る外国人Youもたくさんいます。

友人のシンガポール人も家族で横浜にある「ラーメン博物館」に行き、来日時の食事の半分はラーメンという強者もいるくらいです。

そんなラーメンですが、皆さん、「一蘭」というラーメン店をご存知でしょうか?

博多に本社がありトンコツベースのラーメンを提供する超一流有名ラーメン店です。

私がよく前を素通りする新宿店も、大勢の一蘭ファンが駆けつけ、いつもなが~い行列を作っています。

そんな当たり前なことよりも私が驚いたのは、『味集中カウンター』と呼ばれるカウンター席です。

そのカウンター席の両側がついたてで仕切られ、ラーメンが提供されるとほぼ同時に目の前のすだれが下がり、店員は見えなくなります。

そしてラーメンを食することに専念できる姿をみたことが、大きな驚きとなって残っています。

あのシステム、現代日本を象徴するようなというか、これからの人口減を象徴するような景色だなあと思ったのです。

話は、少々ずれましたが、きょうはそんな有名ラーメン店「一蘭」で起こった入管法違反についてみてみましょう。

1. 事件概要

報道による事件の概要は次のようなものです。

大阪府警南署は、2017年11月29日に、入管難民法違反(資格外活動)容疑で人気ラーメン店「一蘭」店員のベトナム国籍の女性を逮捕し、勤務先の道頓堀店別館と福岡市博多区の本社を家宅捜索しました。

同社は外国人を雇い入れた際に必要な届け出を怠っていた雇用対策法違反の疑いがあるとして、同署は雇用記録などを押収して詳しく調べているようです。

ベトナム国籍の女性容疑者は、2017年3月に留学先の専門学校を除籍になった後も就労を続けていたようです。

5月に警察官の職務質問を受けたのを機に発覚しました。

容疑は4月以降留学生ではないのに、同店で勤務し報酬を得ていた疑い。(資格外活動違反)

本人は容疑を認めているといいます。

この報道から、次のような経過がわかります。

2. 時間的な経過のまと

a. 2017年2月以前留学生として来日し、「一蘭」でアルバイトを行っていた

ここは推測ですが、在留資格「留学」+資格外活動許可取得していた。

ここまではなんの問題もありません。

b. 2017年3月:ベトナム人女性外国人は留学先の専門学校を除籍

c. 2017年4月:すでに留学生ではないにも関わらず、「一蘭」側には連絡せず、そのままアルバイトを続ける

d. 2017年5月:警察官の職務質問を受け、問題が発覚した。

e. 2017年11月29日:そのベトナム人女性外国人が逮捕される

3. 一蘭の会社としての容疑とは

必要な届け出を怠っていた「雇用対策法違反」の疑いと「不法就労助長罪」とされています。

これらはなんでしょうか?

3-1. 雇用対策法違反

前者の必要な届け出を怠っていた「雇用対策法違反」の疑い」とは、当ブログでも取り上げた外国人アルバイトを雇い入れた時ハローワークへの届けのことです。

詳しくは、次のブログで詳細をチェックして下さいね。

3-2. 不法就労助長罪

では、もう一方の「不法就労助長罪」とは、どのような罪であり、刑罰があるのでしょうか。

「不法就労助長罪」についても、次のブログで確認して下さいね。

罰則としては、3年以下の懲役又は300万円以下の罰金に処し、又はこれを併科されるのでしたね。

4. ベトナム人女性の容疑は

報道では、「資格外活動違反」です。

このベトナム人女性は、2017年3月に留学先の専門学校を除籍されています。

この時点で、在留資格「留学」に関して資格該当性なし」になるので、取り消されてもおかしくありません。

ただし、専門学校の除籍が、即在留資格の取消しになるわけではありません

在留資格の取消になる場合には、入国審査官が、在留資格の取消しの対象となる外国人から意見を聴取することが必要なのです。

つまり、在留資格を失った理由(今回の場合は、専門学校を除籍となった理由や生活状況等)を聴く段階があり、事情などを総合的に判断して処分が決まることになります。

4-1. 最悪の場合はどんなことに

このベトナム人女性は、最悪の場合どうなっていたのでしょうか。

入管法によると(入管法22条の4 第6項)、

留学の在留資格に係る活動(専門学校で勉強すること)を継続して3か月以上行っていない場合は、その在留資格を取り消す

(ただし,その活動を行わないで在留していることにつき正当な理由がある場合を除きます。)

とされており、入国審査官が、在留資格の取消しの対象となる外国人から意見を聴取した後には、在留資格の取り消しになっていた可能性もあります

しかし、この女性に対して、入国審査官の聴取は行われていなかったようで、その容疑は「資格外活動違反」とされたようです。

この場合、1年以下の懲役、禁錮又は20万円以下の罰金に処し、又はこれを併科されます。

しかし、禁錮刑などを受けてしまうと、日本を退去強制(=強制退去)となってしまいます。

5. どうすれば良かったのか

5-1. 一蘭はどうすればこのような事態を防ぐことができたのか

基本は、パスポート在留資格の確認です。

この両者を、雇用開始時ばかりではなく年度の始まり又は終わりの時、長期休暇明けの再来日時、パスポートや在留資格の期限近くなどには、確認するという行為が必要だったのです。

外国人を雇用するということは、彼らのパスポート在留カードの管理も会社の仕事として扱う覚悟が必要です。

外国人任せは絶対にいけません。

5-2. ベトナム人女性はどうすればこのような事態を防ぐことができたのか

この場合も基本に立ち返り、自分の在留資格に変更や更新などあった場合には、正社員又はアルバイトに関わらず雇用主に申し出る確認してもらうことが必要です。

また、日本人と結婚して「日本人の配偶者等」や「永住者」などの身分系在留資格に変更になった時は、就労の制限はなくなります。

しかし、雇用主に申し出ることがお互いの信頼を深めて仕事の幅を増やすことにもつながるのです。

6. まとめ

  • 人気ラーメン店「一蘭」店員のベトナム国籍の女が逮捕された。
  • 「一蘭」は、「雇用対策法違反の疑い」と「不法就労助長罪」の容疑で書類送検された(2018年3月8日現在)。
  • ベトナム人女性は、「資格外活動違反」の容疑がかかっている。
  • 最悪の場合、ベトナム人女性は、退去強制されることもある。
  • 雇用主および被雇用者ともに、パスポートや在留カードの節目での確認が、このような悲劇を防ぐことにつながる。