難民認定制度の運用の更なる見直し後はどうなったのか,その後を追う

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当ブログでも、お伝えした「難民問題と認定制度-日本での申請状況と運用見直しについて」。

難民認定手続きを見直し、短時間に申請を処理する制度として、2018年1月15日から導入されています。

2015年には、7,586人の難民申請がされましたが、認定されたのは、たった27人でした。

難民認定手続き見直しの目的は、真の難民の迅速な保護を図るため

つまり、偽装難民が非常に多く本当の難民の審査が遅れてしまい結果が出るまでに非常に時間がかかっていました

この状況を改善するために、難民申請者をA,B,C,Dの4つの区分に分けて、短時間に処理していく運用見直しでした。

(見直し内容を、知りたい人は、上の記事を参考にしてください。)

その後、新しい認定制度はどのように機能しているのか。

先日8月30日に、法務省が発表したので、中身をじっくり見てみましょう。

1. 難民申請者数の推移

過去最高の申請者数を記録した2017年は、1年間で19,629人の申請数でした。

比較のために、この年2017年上半期だけでは、8,561人でした。

それが、新しい認定制度の2018年上半期5,586人の申請人数となり、約35%の減少となりました。

新認定制度の下、難民認定申請者数が減ったのです。

就労目的の外国人による難民認定制度の濫用・誤用に、ある程度の効果をあげています

2. 2018年上半期申請者の国籍は

表2. 国籍別申請者数の内訳

表2. 国籍別申請者数の内訳(法務省発表資料より引用)

表2に示すように、ネパール、フィリピン、インドネシア、ベトナム、スリランカとなっています。

これらの国からの申請数は、前年同期と比べて約46%減少しているものの、申請総数の約57%を占めています。

依然として、大量の難民・避難民を生じさせるような事情がない国々からの申請が多い状況が続いています。

3. 難民認定処理の状況は

2018年上半期難民認定申請処理された数6,375人分であり、2017年上期と比べて1,875人(約42%)増加しました。

2018年上半期5,586人に対して、処理数6,375人分というのは、2017年下期では処理できなかった数が、2018年上期に処理されたために、上期の申請数よりも多いのです。

処理方法が、根本的に見直されたために、処理の迅速化が、計られたのだと思います。

つまり、この事実だけからでも、難民認定手続きを見直しの目的である真の難民の迅速な保護を図るためは、ある程度達成されているのだと思います。

3-1. 難民認定処理の内訳は

難民認定者20人難民不認定者4,904人申請を取下げた者1,451人となっています。

また、申請を取下げた者等のうち、約84%がすでに出国しています。

3-2. 不認定者の主な国籍は

図3.不認定者国籍と人数

図3.不認定者国籍と人数(法務省発表資料から引用)

図3に示すように、フィリピン1,079人、インドネシア877人、ベトナム825人、ネパール516人、トルコ430人、スリランカ218人、カンボジア214人、ミャンマー142人、中国109人、バングラデシュ78人となっています。

3―3. 申請を取り下げた者の主な国籍は

図4.申請を取り下げた者の主な国籍と人数

図4.申請を取り下げた者の主な国籍と人数(法務省発表資料から引用)

図4に示すように、フィリピン652人、ネパール124人、インドネシア105人、ベトナム94人、スリランカ78人、インド73人、トルコ63人、ミャンマー60人、パキスタン52人、中国36人となっています。

申請を取り下げた者の数は、2018年上半期だけで1,451人となっており、申請を取り下げた者の数が、実は急増しています。

3-3-1. 取り下げ理由とは

「問題が解決したため」、「帰国するため」、「他の在留資格への変更が許可されたため」などとです。

申請の取下げ等の後に約84%が出国し、なんと約12%が日本に不法に残留し続けています(2018年7月31日時点)。

84%の出国は、「運用の更なる見直し」により、就労等を目的とする濫用・誤用的な申請者が申請を取り下げて、帰国したものです。

見直しに、相当の効果があることを示しています。

4. 難民認定及び人道配慮による在留許可者数は

ここからは、難民認定された人や人道的に配慮が必要と判断された人の数になります。

新しい難民認定手続(不服申立てを含む。)の下で、難民認定者は43人となりました。

そのうち、一次審査で認定した20人不服申立で「理由あり」とされた2人を合わせた合計22人です。

難民認定は、一次審査で認定されると即、定住者同等の在留資格が発行されます。

不服申立で「理由あり」というのは、一次審査で認定されず、その判断への不服申立を法務大臣に行い「難民認定審査することに明らかな理由がある」と認められたということです。

難民と認定しなかったものの人道的な配慮を理由に在留を認めた者は、イラク、シリア人など21人となっています。

4-1. 難民認定者の国籍は

エチオピア4人、中国4人、シリア3人、アフガニスタン2人、イエメン2人、コンゴ民主共和国2人、イラン1人、ウガンダ1人、エリトリア1人、コロンビア1人、ブルンジ1人となっています。

5. まとめ

2018年1月15日から運用されている新しい難民認定制度の運用は、見直しに相当の効果があることを示している。

  • 難民認定申請者数は、2017年上半期だけでは、8,561人に対して、新しい認定制度の2018年上半期は5,586人の申請人数となり、約35%の減少。
  • 2018年上半期申請者の国籍は、あいかわらず、大量の難民・避難民を生じさせるような事情がない国々からの申請が多い状況。
  • 2018年上半期の難民認定申請で処理された数は、6,375人分であり、2017年上期と比べて1,875人(約42%)増加。
  • 難民認定処理の内訳は、難民認定者20人、不難民認定者4,904人、申請を取下げた者等1,451人となっている。
  • 申請を取り下げた者のうち、出国した84%は、「運用の更なる見直し」により、就労等を目的とする濫用・誤用的な申請者が申請を取り下げて、帰国したものであり、見直しに相当の効果があることを示している。