本当に介護人材は集まるのか 新・在留資格「特定技能」創設案可決したが…

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2018年12月8日、正確には翌日9日午前4時に、第197回臨時国会で、新在留資格「特定技能」の創設を含む、出入国管理及び難民認定法及び法務省設置法の一部を改正する法律案(閣法第1号)が可決されました。

やれやれ、これで介護業者の方たちが、海外の介護人材を確保に動くのかと思ったのですが…。

どうも、政府がもくろんでいるように簡単にはいかないようです。

今回は、なぜ簡単に介護人材が集まらないのかを、数字や他の事例を示して考えてみます。

1. 介護人材は集まらない 理由は日本語と介護人材争奪戦状態だから

政府の発表によると、在留資格「特定技能」による介護人材の受入れは、当初5年間は5-6万人とされています。

こんなに集まるのでしょうか?

よほどの裏技がないと無理だと思うのです。

その理由は、

  • 日本語習得の難しさ
  • アジア周辺国での介護人材が争奪戦状態にある

と考えているからです。

1-1. 外国人にとって日本語の壁は意外に大きい

介護は、コンビニの店員とは違うのです。

利用者(お年寄り)や他の介護職員との円滑な意思疎通が求められます。

極端な言い方ですが、レジ打ちの数字が合っていればどうにかなる、コンビニの職とは大きく違った意味でのサービス業だからです。

日本になじむことができれば、話し言葉は比較的短期間で習得できるでしょう。

しかし、日本語を書いたり読んだりすることは、永住者と呼ばれる外国人も多くの人はできません。

介護する上でメモを書いたり、他の職員からの指示を読んで理解し、行動することは、重要であり、難しいのです。

逆のことを考えていただければ、わかりやすいと思います。

もし、あなたがアメリカや中国の介護施設で働くことになったとして、介護が必要な老人の英語や中国語がわかりますか?

いきなりは、無理とわかっていても、1-2年後に介護職としての外国語が書いたり読んだりできますか?

話すことは簡単でも、書くことや読むことが非常に難しい日本語に馴染めない外国人は多いのです。

1―2. アジア周辺国での介護人材が争奪戦状態にあるから

2つめの理由ですが、まさにこの通りで、中国や韓国、さらにはタイなどでも、老人の比率が高くなっており、高齢社会にまっしぐらの状態になりつつあります。

そんな状態で、フィリピンやインドネシアなどの介護人材を求める声は多く、争奪戦が始まっています。

介護人材を必要としているのは日本だけと思っているあなたは、すでに遅れているのです。

2. いままでの介護人材の入国者数は

いままでも、外国人が介護職につくための在留資格は3つありました。

  • EPAによる特定活動
  • 技能実習生の介護
  • 在留資格「介護」です。

それぞれ、入国の目的や在日の年数などについて制限があります。

比較をご覧になりたい方は、次の記事を参考にして下さい。

では、それぞれの制度によっていままでに来日した人数はというと、下表のようになっています。

 外国人介護人材の受入れ人数 
在留資格名制度開始年受入れ人数
EPAによる特定活動2008年4,302人
在留資格「介護」2017年177人(2018年6月末現在)
在留資格「技能実習」介護2017年247人(2018年10月末現在)
在留資格「特定技能」介護2018年当初5年間で5-6万人

一見してわかるように非常に少ないのです。

特に、2017年に始まった制度である在留資格「介護」や技能実習「介護」は、それぞれ300人以下です。

なぜ、このように少ないのか。

その理由は、先に上げた理由と同じ「日本語」と「介護人材争奪戦」によるものなのです。

この数字をみて、多くの外国人が介護で働くために来日してくれると思いますか?

かなり難しいと思います。

3. 打開策は

はっきり言って、当初5年間の受入人数は5-6万人を達成する打開策はありません。

単に、給与水準を日本人並みにしても、無理だと思います。

少なくとも、特定技能1号の1年後に問題なければ、永住権を与えるくらいの大盤振る舞いが必要なのではないかと考えます。

これって、どこかで聞いたことありませんか?

実は、すでに、日本では高度専門職1号で1年過ごせば、永住権申請が可能になっているのです。

それなりにハードルの高い設定になってはいますが、在日1年で永住権取得が可能な世の中なのです。参考記事をあげておきます。

4. まとめ

  • 新在留資格「特定技能」施行後も介護人材は集まらない。
  • 理由は、日本語習得の難しさとアジア周辺国での介護人材の争奪戦状態にあるから
  • いままでの介護人材の入国者数は、4,726人程度と当初の目論見に対して非常に少ない
  • 打開策は、思いきったものが必要