新たな在留資格「介護」を創設する/2025年問題は解決されるのか
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2016年11月に、改正入管法が成立し、在留資格に就労ビザの一つとして「介護」が追加されることになりました。
それを受けて今日は、介護の業務に従事する外国人の受入れを図るため、介護福祉士の資格を有する外国人を対象とする、新たな在留資格「介護」を創設するについてみてみましょう。
まずは、在留資格(ビザ)に関して、よくわからないという方のために、在留資格の説明からします。
目次
1. 在留資格は27種類あります
2016年12月時点で、在留資格は27種類あります。
その在留資格は
- 定められた範囲での就労が可能な在留資格(就労系ビザ)17種類
- 就労が認められない在留資格 5種類
- 個別に活動内容が指定され許可された在留資格 1種類
- 就労に制限がない在留資格(身分系ビザ)4種類
に大別できます。
これを見ても分かる通り、在留資格には、就労系ビザと呼ばれる日本で働くための在留資格と、就労ができない、就労が制限されていない資格があるのです。
在留資格の詳細や、査証とビザ、在留資格の違いについては以下の記事を御覧ください。
2. 28種類目の就労系ビザ「介護」ができるということです
この在留資格「介護」はA)就労系ビザに分類されます。
いままでは、「定住者」や「日本人の配偶者等」などの身分系ビザ(上記D)を有する外国人以外が介護職につくことはできませんでした。
在留資格「介護」の詳細説明は以下の記事を参考にしてください。
3. 今までは身分系ビザ所有者とEPA「特定活動」ビザ所有者しか介護職に就けなかった
正確に言うと、身分系ビザを有する外国人と、EPA協定にもとづき来日したフィリピン人、インドネシア人、ベトナム人が「特定活動」という在留資格で介護福祉士として働いている外国人のみが、日本での介護事業に従事できる外国人ということでした。
ちなみに、在留資格「特定活動」は上記分類のC)に当たります。
4. 身分系ビザ所有者とEPA介護人材では日本の介護は支えきれない
しかし、このEPA協定で受け入れた介護人材は、約2,700人にとどまっています。
期限内に国家資格を取れずに帰国する人が多く、要員確保の効果は乏しいとの言うのが実情です。
そこで、業を煮やした政府などが重い腰をあげて改正案をつくったのが、今回の事情のようです。
5. 日本政府見解は「移民政策は取らない」「単純作業は許さない」
安倍首相はもともと「移民政策はとらない」といっているように、ドイツや欧米の主要な国のように、移民を多く受け入れる考えはなかったのです。
そのために、EPA協定をフィリピンやインドネシア、ベトナムと結び、少しずつ受け入れようとしましたが、介護人材の需要の立ち上がりが予想よりも大きく、在留資格そのものに「介護」を入れざるを得なかったのが本音でしょう。
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6. まとめ
- 新たな在留資格「介護」を創設すること。
- 28種類目の就労系ビザ「介護」ができるということ。
- 今までは身分系ビザ所有者とEPA「特定活動」ビザ所有者しか介護職に就けなかった。
- 身分系ビザ所有者とEPA介護人材では日本の介護は支えきれない。
- 日本政府見解は「移民政策は取らない」「単純作業は許さない」。